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「応援を楽しもう!」
2007/09/21(金)  
 

いよいよ始まるFリーグ。開幕を直前に控え、代々木体育館の開幕戦はどんな雰囲気になるのだろうかと、楽しみでならない。

スペインの名門、インタビューのメインアリーナでは、熱狂的な白髪の老婦人がスタンドの最前列で立ちながら、心臓発作を起こしてしまうのでは?と見ているこっちが心配しそうなくらいに熱心に声を荒げて、ブンブンにチームマフラーを振り回して応援していた。ポルトガルで行われた今年のインターコンチネンタルカップでも、スポルティングのサポーターは大きなフラッグを何本も振り回して、太鼓をたたき続け、それでも足りずに、ストンピングと壁を手で叩いて地響きを鳴らして会場をも揺らしていた。3位決定戦、ベンフィカとのポルトガルダービーでは、サポーターの数ではベンフィカが上回り、アリーナ内のDJもスポルティングサポーターを煽るかのようにあからさまにベンフィカ贔屓なパフォーマンスをすると、その挑発にスポルティングサポーターは荒々しく対抗する。ピッチ脇で撮影をしていたのもあって、耳栓をしたいくらいうるさかったが、隣にいた日本人カメラマンは、「この盛り上がりをFリーグで見たい」とアリーナの雰囲気に酔っていた。

確かに、日本のフットサル会場では観客が騒ぎ出す状況はほとんど無かった。しかし、阪神タイガースの甲子園球場や浦和レッズの埼玉スタジアムでは、そのような雰囲気が自然と作られている。ホームチームを奮い立たせ、アウェイチームを数と声と音で威嚇する。そのような環境でプレーするのはホームの選手にとっては嬉しいことだろうが、アウェイの選手にとってはこの上なく嫌なはず。少なくとも私は嫌だ。

ところで、彼らは何が目的でスポーツを見に来ているのだろう?好きな選手がいたり、チームが好きという理由が多いだろう。ただ、私の知り合いのFC東京サポーターは、「見るだけならテレビの方が見やすいけど、応援で盛り上がっている雰囲気が好きだから」と言っていた。毎試合ゴール裏で試合中立ちっぱなしで踊っている人なのだが、確かに試合を見るだけでなく、応援そのものを楽しんでいる。こういったファンはフットサルではごく一部の人たちだけで、テクニックのある選手のプレーが目的で見に来る人が多い。藤川球児の投球フォームが目的という阪神ファンはほとんどいないだろう。

町田の甲斐修侍選手は、「日本人は海外に比べておとなしいけれど、お金を払って見に来てくれているのだから、良いものは良い、悪いものは悪いとシビアに声を大にして言って欲しい。罵声を浴びて消える選手もいれば、伸びる選手もいる。プロの空間を作り上げたい」とインタビューで答えていた。

将来的にプロとなるために、選手たちの評価もおのずと必要になってくる。その指標の1つがアリーナでの観客の反応になる。上手いプレーにうなずくだけではなく、自分の考えを率直に出せれば、また1つ新しい楽しみ方ができるのではないだろうか。友達とアリーナで一緒にブーイングして楽しんだり、みんなで大喝采を送ったのがきっかけでファン同士の輪が広がるかもしれない。

代々木で大ブーイングやストンピングがあった日には、「うるさいな」と思いながらも、アリーナが盛り上がる事にちょっとほくそ笑んでしまうかもしれない。ポルトガルで一緒だったカメラマンも、レンズの脇から笑みで緩んだ口がはみ出ているに違いない。


文/ 杉浦 文哉

ライタープロフィール

杉浦 文哉(すぎうら あやかな)
1975年、千葉県生まれ。
2005年からフットサルの取材を始め、以後2シーズン関東リーグは皆勤賞。
2006年は関東以外に、東海や関西リーグにも足を運び、1日で関西リーグと東海リーグをはしごした経験を持つ。また、スペインで小野大輔対鈴村拓也、木暮賢一郎対鈴村拓也の日本人対決を、ポルトガルでは日本代表の遠征を観戦した数少ない1人。
2007年はインターコンチネンタルカップを取材。名古屋オーシャンズの惨敗を焼き付けた。
主な掲載先は、
・フットサルダイジェスト、週刊サッカーダイジェスト(日本スポーツ企画出版社)
・フットサルナビ(白夜書房)
Fリーグが中心だが、Jリーグや高校サッカーにも活動を広げており、「職業、サッカー選手」(ノースランド出版)を執筆。



※フットサルタイムズでは今後も杉浦 文哉氏のコラム・レポートを継続的にお届けしていく予定です!お楽しみに!(^^)/


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