text : Ayakana Sugiura
photo : Hiroaki Katsumata(futsal grapchic)
金山友紀

速い足と強いハート

「世界の強豪と戦うには?」そんな問題が投げかけられたときに、日本人の象徴として取り上げられるのが金山友紀である。
163cmという小ささがハンデと思わせないほどのスピードは、相手からすればこの上なく嫌な存在であり、先日のアルゼンチンとの壮行試合の初戦で見せたサインプレーでもそれはわかるだろう。
また、そのプレーや得点シーンでもあったように、接触を怖がらない突進力は彼にしかできない武器である。

しかし、スピードばかりに目が行ってしまうが、ピンチになれば自陣ゴール前まで戻り、チャンスとあれば積極的に相手ゴール前に走りこむスタミナもチーム随一であり、献身的なプレーを忘れない。1本のシュートパスに詰める選手は日本でもいるが、何十本ものシュートパスに詰められるのは彼しかいない。実際、木暮、鈴村、小野以外では金山を推す海外の選手も多い。その評価が彼の良さを現している。

強い気持ちで怪我を制す

2001年の第3回アジア選手権からほとんど選ばれ続けている金山だが、昨年の大会は直前に怪我をしてしまい、不完全燃焼だった。脚にテーピングをぐるぐるに巻いた状態ながらもベンチ入りできたのは、彼が強いメンタリティの持ち主だったからである。怪我人を使わないサッポがベンチ入りさせただけでなく、決勝戦の大事な場面で金山をピッチに出した。「彼が『俺を出してくれ』と言ったその強い気持ちに負けて思わず出してしまった」と気持ちで監督を動かすほどだった。

金色の長髪と爽やかなルックスと軽快な動きに隠されたメンタリティはチーム1厳しい。彼の気持ちが折れない限り、何があっても日本は挫けない。

Profile:かなやま ゆうき 1977年9月2日生 163p、63s ペスカドーラ町田所属