text : Ayakana Sugiura
photo : Hiroaki Katsumata(futsal grapchic)
小野大輔

柔と剛を併せ持つ日本の起点

「日本人=フィジカルが弱い」
散々言われ続けてきた言葉で、それを解決するためには速く動いてパスをまわして相手に触れさせないフットサルしかない、と世間では共通認識ができあがりつつある。世界でもどっしりとポジションを取ってプレーをする国は少なくなってきていて、今ではベットン、シャムサイーくらいで天然記念物レベルだろう。だが、1つの戦い方では限界がある。ブラジルはあれだけ豊富な選手層ながらもベットンという個性を使うのは、やっぱりピヴォ当てからの攻撃はフットサルにおいて必要不可欠だからなのだろう。

日本でピヴォ当てからの攻撃をするには小野が欠かせない。恵まれた体格とボールコントロールは天稟だが、これを剛とするならば小野は柔も持ち合わせる。周りに合わせて動くことも出来るし、カウンターともなれば逸早く走り出すことも出来、ロングシュートも確実に決められる上手さを持つ。昨秋のウクライナ戦でも相手の隙を突いてカウンターからループシュートを決め、昨年のアジア選手権の決勝では相手のパワープレーでボールを奪ってロングシュートを決めた。

上手さの裏にはさまざまな海外経験

元々、巧くて日本では大黒柱の好待遇だったが、欧州に移籍してからは思うように行かない日が続いた。イタリアでは出場機会に思うように恵まれず、翌シーズンは活躍の場を求めてスペインへ移った。元々スペインでプレーしたい気持ちはあったが、当時はまだキックインではなくスローインだったために渡西しなかった。しかし、スペインでは主力として期待されたが、監督が3人交代するなどチーム事情がその都度変わってしまい、本来の力を存分に発揮できなかった。

それでも2シーズンを海外、しかも異なる国でプレーしたことで力強さと巧さが向上した。当たりが強い欧州の試合を経験して、フィジカルを鍛えただけでなく、当てられても倒されずにボールをキープできる術を習得した。帰国して一緒にプレーをしたフトゥーロの選手は、「元々巧かったけど、昔以上にボールを奪えなくなった」と小野の成長振りを体感した。

フィジカルの強いイランやウズベキスタンなどと対戦するときこそ、彼の柔と剛の合わせ技が活きてくる。壮行試合では活躍の場が無かったが、本番ではやってくれるはず。

Profile:おの だいすけ 1980年1月25日生 177p、65s タラベラ(スペイン)所属