text : Ayakana Sugiura
photo : Hiroaki Katsumata(futsal grapchic)
定永久男

三十路ながらもまだ進化

定永はアジア選手権を振り返れば第1回から出場している数少ない選手である。
しかし、ファイルフォックス時代は遠藤の控えに隠れ、これまでの代表でも川原や石渡に次ぐポジションで、決して表舞台に立っているというわけではない。前回のアジア選手権でもベンチ外となる事が多く、ベンチ入りしても出場機会はほとんど皆無だった。

それでも定永はチームのために徹してきた。若手選手はその姿を見て、出られなくてもやれることはあると痛感したという。現在の代表のゴレイロのうち、最も若い川原でさえ29歳になる。世代交代が言われる中、30台の定永が選ばれ続けるのは、実力だけでなくチームのために犠牲になれる気持ちがあるからだろう。

名古屋移籍が転機

ベテランの定永にとって転機だったのが昨年の太陽薬品/BANFFへの移籍である。
ファイルフォックス時代からの師弟関係であるオスカーの誘いに、定永は決意を固めた。
毎日2部練習というハードスケジュールに加え、ブラジル来た山田マルコスユウジとの正ゴレイロ争いは定永にとって大きな刺激となった。
そして、見事スタメンの座をつかむと、大活躍。攻撃的なチームの中で数は少ないものの、決定的なピンチをことごとく防いできた。
バネのように飛び跳ねる跳躍力と俊敏性は30歳とはとても思えないほどである。

3冠達成すると、それまで3番手だった代表のポジションから他の2人にプレッシャーをかけるまでになった。彼の進化が日本の正ゴレイロ争いを活発にする。

Profile:さだなが ひさお 1977年1月17日生 174p、66s 名古屋オーシャンズ所属